【開催報告】「第一回 顧みられない熱帯病 学生コンテスト」受賞6作品が決定/最優秀賞、U-18特別賞、GHIT賞、日本製薬工業協会賞

世界16億人へ影響を与える顧みられない熱帯病(NTDs)の認知度向上・制圧へ向けて、生徒・学生が想いやアイデアを発表。3月1日より最優秀作品と表彰式の様子を配信開始。

世界16億人以上に影響を与えている顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseaes: NTDs)※1の認知度拡大・政策提言活動を行っている一般社団法人NTDs Youthの会(事務所:福岡市博多区、代表理事:轟木亮太)は、「第一回 顧みられない熱帯病 学生コンテスト」の受賞者を発表したことをお知らせします。



NTDsとは世界保健機関(WHO)が定義する21の疾患群で、主に熱帯地域の貧困層を中心に現在も16億もの人々が感染のリスクにさられています。具体的な疾患として、狂犬病やハンセン病、デング熱などが含まれています。NTDsの制圧は持続可能な開発目標のTaget3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。」と定められているように、地球や人類のより良い未来を作るためには制圧が欠かせず、世界が一体となって対策を促進する必要があります。

■ コンテスト概要

世界NTDの日(1月30日)の連動企画として開催された本コンテストは中学生から大学院生までの生徒・学生を対象とし、個人もしくは4名までのチームで参加を条件としました。応募部門として「A部門:NTDsを分かりやすく伝える 〜NTDsを、あなたの言葉で〜」と「B部門:私たちができることを考える部門 〜NTDsと私たちの関わり方〜」の二つの部門を設け、作品を広く募集しました。


■ 応募結果

応募総数はA部門は20チーム(53名)、B部門は15チーム(26名)でした。応募者の中で最も多かったのが、高校生と大学生のチームでどちらも全体の4割を占めました。また、応募者の約6割がこのコンテストで初めてNTDsを知った生徒・学生でした。これらの応募者の中から、世界NTDの日・日本実行委員会による一次選考を通過した5チーム(11名)、6チーム(9名)が最終選考へ進みました。


■ 最終選考会

最終選考は2024年1月28日(日曜)に、東京大学山上会館(東京都文京区)にて行われ、官民学と様々な立場からNTDsに関わる6名の最終審査委員による選考を経て、受賞作品が決定されました。

〈最終審査委員〉(※50音順)

  • 大畑 美菜氏(GHIT Fund ブランドコミュニケーション シニアマネージャー)
  • 岡田 岳大氏(厚生労働省 大臣官房国際課 国際保健・協力室 課長補佐)
  • 三條場 千寿氏(東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用免疫学教室 准教授)
  • 竹下 由佳氏(朝日新聞 with Planet 編集長)
  • 富田 明澄氏(NTDs Youthの会 コンテスト事業部 部長)
  • 藤井 泉氏(日本製薬工業協会 NTDグループ/アステラス製薬 サステナビリティ部 マラリア・プラジカンテルプロジェクト担当)


最終審査会の様子=2024年1月28日、東京大学山上会館(東京都文京区)、千葉大輝氏撮影

最終審査会で発表するGHIT賞受賞チーム=2024年1月28日、東京大学山上会館(東京都文京区)、千葉大輝氏撮影

最終審査会で質問をする厚生労働省の岡田岳大氏=2024年1月28日、東京大学山上会館(東京都文京区)、千葉大輝氏撮影

■ 表彰式(世界NTDの日)

2024年1月30日の世界NTDの日にオンラインで行われた表彰式では受賞したチームの代表者へ賞状が授与されました。授賞式の様子を3月1日より配信を開始しました。(視聴はこちら)。受賞者からは「これからも視野を広く持ち私たちにできることをしていきたい。」や「NTDsに含まれる疾患は聞いたことがあったが、NTDsの枠組みを知らない人も多く友人へ知ってもらうことを続けたい。」などコメントがありました。

■ 最優秀賞 受賞作品紹介

A部門最優秀作品

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B部門最優秀作品

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■ 受賞者紹介

両部門の最優秀賞の受賞者には、賞状と賞金10万円が贈呈されました。また、18歳以下のメンバーで構成されるチームを対象とするU-18特別賞、GHIT賞「パートナーシップを通じての課題解決」、日本製薬工業協会賞「いっしょに届けたい、くすりと想い」の受賞者には、賞状とチーム全員へ図書カード5,000円が贈呈されました。

A部門 最優秀賞

受賞したのは大分大学医学部医学科5年の牧 功大氏。西郷隆盛が感染したとされるリンパ系フィラリア症を切り口としてNTDsに対して分かりやすい動画を発表しました。テンポの良い動画で、視聴者を飽きさせない構成が評価されました。

B部門 最優秀賞

受賞したのは大阪公立大学医学部医学科4年の涌井謙佑氏。主に中南米で流行するシャーガス病の研究を、エルサルバドルへ渡航した経験を活かして創薬を目指した研究についての発表が評価されました。

A部門 U-18特別賞

受賞したのは千葉県立幕張総合高等学校看護学科1年の(左から)篠塚颯河氏、中松陽向氏、山本莉子氏、片井さくら氏。NTDsの認知度をインスタグラムで100人の高校生にアンケートを取り、8割が「知らない」回答した結果を発表しました。NTDsを知り、募金などできることから始める大切さを伝える姿勢が評価されました。

B部門 U-18特別賞

受賞したのは福岡県立修猷館高等学校2年の(左から)大山愛加氏、久我彩乃氏。国連世界食糧計画(WFP)によって実施されているレッドカップキャンペーンを例にして、商品を買うとNTDsの制圧に向けた支援につながる取り組みを企業と共に実施するという具体性のある提案が評価されました。

GHIT賞「パートナーシップを通じての課題解決」

受賞したのは千葉県立幕張総合高等学校看護学科1年の(左から)礒妃葵氏、魏悦航氏、古川結菜氏、只川伊澄氏氏。NTDs制圧に向けた国際的な重要な取り組みである「ロンドン宣言」と「キガリ宣言」に着目し、発表しました。産官民などのパートナーが協力してNTDsに対して共に闘うことが必要性を言及した点が評価されました。

日本製薬工業協会賞「いっしょに届けたい、くすりと想い」

受賞したのは東京学芸大学附属国際中等教育学校3年の(左から)廣野慧香氏、宮嵜彩歌氏。日本の強みである医療技術と政府開発援助(ODA)を活かしつつ、支援国の特性や環境を配慮した持続可能性のある寄り添いのある支援が、日本への理解や信頼の獲得につながると訴えた点が評価されました。

最後に

NTDsをはじめとする国際保健分野では、"自分ごと"として考える機会の少なさが課題の一つです。しかし、本コンテストを通して、この顧みられていない課題について応募者が悩み、考え、発表することを通して、"自分ごと"として行動できたとの声が多くありました。また、応募者が自主的に調べ、分かりやすく伝える機会を通して学びを深められたようです。


私たち、NTDs Youthの会は16億人の人々が影響を受けているNTDsの制圧の重要性を伝え、"自分ごと"として取り組む人々を増やすことが目指します。今後も、国内外のNTDsに取り組む組織と共にNTDsの制圧に向けて取り組んでいきます。

■ 2024年「第一回 顧みられない熱帯病 学生コンテスト」組織体制

  • 主催:世界NTDの日・日本実行委員会
  • 幹事:一般社団法人NTDs Youthの会
  • 構成団体:長崎大学熱帯医学研究所/日本顧みられない熱帯病アライアンス(JAGntd)、日本製薬工業協会、特定非営利活動法人SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)、一般社団法人NTDs Youthの会、特定非営利活動法人 DNDi Japan、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、特定非営利活動法人 日本医療政策機構(HGPI)、一般社団法人日本熱帯医学会学生部会(J-Trops)、日本国際保健医療学会学生部会(jagh-s)、GR Japan株式会社、日本獣医学生協会(JAVS)、AMSA Japan、臨床検査技師学生団体SOLS、学生団体メドキャリ
  • 協賛:公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、日本製薬工業協会、GR Japan株式会社